BFL経営財務研究所は、JSK事業再生研究会やアジア進出研究会の活動を通して税理士、弁護士はじめ経営コンサルタントの先進的なアドバイザリー業務を支援しています。
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カテゴリ:事業再生コラム&提言( 36 )
「会社法制の見直しに関する中間試案」に対するパブリック・コメント
昨日、「会社法制の見直しに関する中間試案」に対する
 法務省へのパブリックコメントをJSK事業再生研究会として提出しました。

・提出先:法務省民事局参事官室
・提出者2名;
・・JSK事業再生研究会々員の裵薫(ペエ・フン)先生/弁護士と
・・JSK事務局長の杉田利雄が出しましたので、報告させていただきます。

弁護士:裵薫先生のパブリックコメント
https://mmplan.sugarsync.com/getfiles/dcwriz3wxe9qe

事務局:杉田利雄にパブリックコメント
https://mmplan.sugarsync.com/getfiles/frs7sqggq79h6

今回の意見募集は、昨日2012.01.31で締め切られましたが、
今後とも中小企業再生支援の立場で、関係機関に提案や
提言を行って行きたいと考えています。
よろしくお願い申し上げます。

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by bfl-info | 2012-02-01 16:07 | 事業再生コラム&提言
《経営者以外の第三者による個人連帯保証等の慣行の見直し等》
金融庁発表---

金融庁では、「主要行等向けの総合的な監督指針」及び「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」、「金融検査マニュアル」の一部改正(案)《経営者以外の第三者による個人連帯保証等の慣行の見直し等》につきまして、平成23年2月28日(月)から平成23年3月30日(水)にかけて公表し、広く意見の募集を行いました。

――――――――――――――――――――――――――――――

中小企業経営者にとって重要な監督指針が、
平成23年7月14日に金融庁より公表及び同日適用されました。

『今後締結する借入に対し、経営にタッチしていない第3者の連帯保証は、
原則認めませんよ』という監督指針です。
「倒産したら、自分は仕方ないが、妻と子供も破綻してしまう。
回避したいが、既に契約してしまった」
という社長にとっては朗報です。

さて、具体的にはどのような場合に認められ、認められないのでしょうか。
金融庁のサイトにて金融庁の考え方が示されていますので、
皆さんが興味ありそうな箇所を抜粋致します。


〈金融庁サイトより抜粋し、一部加工〉

1.書換や連帯保証契約の更新(継続)も本指針の対象となる

 なお、根保証付手形貸付の書換継続や個人連帯保証契約の更新(継続)などの
契約については、『金融機関が新たに個人連帯保証契約を締結する場合には、
本監督指針を踏まえた対応が求められる』こととなります。


2.住宅ローン等の個人ローンは対象外とする

『住宅ローンや無担保ローン等といった個人ローンは対象外』であり、
法人向け融資および個人事業主向け融資が対象となるとの理解でよいか。
また、物上担保も対象外との理解でよいか。
意見の通りです。


3.経営者か第三者の判断時期は、個々の保証契約締結時となる

 『「経営者」か「経営者以外の第三者」であるかを判定する時期は、
本監督指針施行後の個々の保証契約締結時(契約前の説明時を含む)です。』
 なお、保証契約締結時に経営者であった者が、
後日、経営者以外の第三者になったとしても、
本項目における「特段の説明」が必ずしも付加されるものではありません。

詳細は、下記サイトをご参照願います。

http://www.fsa.go.jp/news/23/ginkou/20110714-2.html
http://www.fsa.go.jp/news/23/ginkou/20110714-2/01.pdf
http://www.fsa.go.jp/news/23/ginkou/20110714-2/02.pdf
http://www.fsa.go.jp/news/23/ginkou/20110714-2/03.pdf
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意見メールは、 mmplan@kaikei-web.co.jp へ
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by bfl-info | 2011-07-22 10:32 | 事業再生コラム&提言
■中小企業の事業再生:第2会社方式の新たな課題-5
詐害行為取消訴訟のリスクにどう対応するべきか-4

   NPO東海事業支援機構理事、弁護士 佐久間信司、2011年1月8日(寄稿


6 詐害行為取消訴訟を受けないようどのような再生指導を心掛けるべきか

民法の解釈上、詐害行為に該当するかどうかは、当該行為の客観面と主観面及び行為の相当性などを総合的に判断して決めることになります。分割会社の金融債権者に恨まれ詐害行為取消訴訟を提起されるリスクを減らすため留意すべき点として私が思いつくのは次のような点です。

第1に、新設分割に承継する資産・負債の財産評価を的確に行い実質的・経済的に見て相当な対価が分割会社に移転するような計画にすることが不可欠だと思います。その際、承継する事業自体の暖簾的な価値もきちんと評価しなければいけません。また事業の存続をはかるために必要な範囲内で資産・負債を承継するという節度ある計画にする必要もあるでしょう。分割会社の債権者から資産隔離しようというような思惑で承継する資産の範囲を画するのは不適切でしょう。

第2に、分割対価が債権者への弁済に供されていることが必要です。
新設会社が承継する純資産程度は分割会社の債権者に現実に返済することが不可欠だと考えるべきでしょう。それでも純資産を超える多額の負債を切り離して新設分割はその後の事業経営に当たれる訳で、この範囲でも新設会社の受ける恩恵は大きいと思います。
承継する純資産についてすら分割会社の債権者に配当しないようなスキームはやり過ぎです。それでは債権者や世間の理解は得られないと思います。一括での返済が無理なら分割でもいいですから承継する純資産相当額は必ず分割会社の債権者に返済するという姿勢で臨むことが金融債権者との信頼関係を維持するうえで大切だと思います。
世上しばしば分割後に新設会社が増資して会社分割で分割会社に交付した株式の資産価値を減らす試みがされることがありますが、これは詐害行為を決定づける出来事と認定されるおそれがありお勧めできません。

第3に、分割会社の破綻を回避しなんとか新設会社に優良事業の存続をはかりたいという経営者の強い熱意があることが必要です。
旧経営陣には会社分割によるスキームで事業再生を図りたいという気持ちがあるのですから、分割会社の金融債務について新設会社は承継しないということは当然に認識があり、これは一面で詐害の意思そのものです。しかし旧経営陣にはそれと同時に会社分割スキームを利用して貴重な事業の一部存続をはかりたいという意欲もあるはずです。この詐害意思と事業再生意思のどちらを裁判所が重き置いて判断するかという点が重要になるのです。

第4に、旧経営陣が個人的な利得を図らないことことが必要です。
できるだけ旧経営陣は新設分割の代表者に就かず、経営者責任を果たすことがロケーションとしては良好です。中小企業の場合、代表者が企業の業績をあげる推進力で代表者なくして再生など考え難いという場合が多くあります。その場合はそれを隠さず金融機関に正々堂々と説明して下さい。もとの代表者が個人的な見栄や欲求だけで新設会社の代表者をしている訳でないことを訴えて理解を求めてゆくべきだと思います。

第5に、新設分割計画書の内容を主要な金融機関には事前に説明に回るべきです。
この点を分割会社が重畳的に債務負担するから無公告・無催告でいける場合でも省略するべきではありません。この点の説明を避けて隠密裡に手続を進めるとあとで詐害の意思ありと言われかねません。倒産寸前の状況から一定の事業を切り出して存続させる、一面虫の良いことを行うのですから、旧経営陣はこの程度の労苦を厭うべきではありません。

7 訴訟提起された場合の対処法について

客観的な詐害行為性、主観的な詐害意思、分割手続の相当性及び再生スキーム自体の経済合理性などについて論争をして裁判で勝てるかどうかの判断を慎重に行うことが必要です。
中小企業の事業再生に造詣があり、かつ相当程度の民事の裁判闘争にキャリアのある弁護士に相談するといいでしょう。そして勝てるないしは和解に持ち込む可能性があるという場合は全力で法廷闘争を遂行して勝機を掴む努力をするべきです。少なくとも新設会社が存続していける内容での和解解決を目指すべきでしょう。

他方、勝訴は困難、和解も難しいという場合、いずれ新設会社に履行請求がくることを想定して判決が出る前に(判決が出ると仮執行宣言がついて強制執行のリスクがあるため)、新設会社の運営態勢を変える必要があるでしょう。
たとえば新設会社から更に他の会社への事業譲渡や、再度の会社分割の実行などが考えられます。これはスマートな闘い方とはいえませんが、新会社の事業運営に支障がないよう措置するのは現実的な選択肢でしょう。

そしてどこかで金融機関との妥協点を見つける努力をするべきでしょう。あるいは、分割会社について破産手続を申立(分割会社の破産開始決定がでると詐害行為取消訴訟は中断します。)、そして訴訟を受継する破産管財人との間で、新設会社が負担する適正な対価の内容を協議・示談して、新設会社の存続の道を探るという方法もあります。

 新設会社に事業価値があれば管財人とはどこかで折り合いがつくのが通常だと思います。破産管財人と和解して支払った対価は、詐害行為取消訴訟を提起してきた債権者だけでなく分割会社の総債権者に平等に配当する原資となりますから、その意味でも公平な処理といえます。

以上:2011.01.08 弁護士 佐久間信司
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by bfl-info | 2011-04-07 18:26 | 事業再生コラム&提言
■中小企業の事業再生:第2会社方式の新たな課題-4
詐害行為取消訴訟のリスクにどう対応するべきか-3

   NPO東海事業支援機構理事、弁護士 佐久間信司、2011年1月8日(寄稿)


4 詐害行為取消を認めた裁判所の判断を覆せるか

上記昭和リースの事件が高裁で確定したのか、上告受理申立などしていまだ確定していないのかは不明ですが、私の予想ではおそらくこのまま地裁・高裁の判断が確定し、この判決が濫用的会社分割による金融債務のカットに対するリーディングケースになるのでないかと思います。

判決文から窺われる昭和リース事件の事実関係からすれば、裁判所の結論は債務者側で事業再生に関与している弁護士の感覚からしてもやむを得ない結論でないかと思います。
もとの経営者の意向かそれとも再生指導に入ったファンド会社の意向かは不明ですが、この事件では新設分割について事前に金融債権者に説明して理解を得る取組みをした形跡もないし、新設会社が承継した純資産約8609万円についてそれを換金して金融債権者に配当しようとした気配もありません。
分割会社は実体がなくなり金融機関が旧債務の返済について返済を求める条件もなくなったように読めます。これでは借金のぶった切りとしてリース会社が司法の場に是正を求めるのは当然とも思えます。

そして法解釈論として、会社分割は組織法上の行為だから詐害行為取消権の対象にならないという論理が通用しないことが明白になったといえます。裁判所の役割は個々の紛争に即した公正・妥当な解決を図ることですから、このような一刀両断の判断で結論を出すことは無理だということです。
これらを踏まえ今後の議論は、会社分割が詐害行為取消権の対象となること自体は認めたうえで、詐害性の有無で闘う路線を取るしかないと思います。

詐害性の判断についての昭和リース事件判決の論旨は詐害性を緩やかに認め過ぎているという不的確な面があり、まだ争う余地があると思います。では裁判所に詐害性を認めさせないためのポイントはどのような点にあるでしょうか。以下に項目を変えて私見を述べてみたいと思います。

5 再生事案の詐害性の判断はどうあるべきか

まず、詐害行為取消権というのは民法424条1項に規定された債務者の責任財産保全の制度であり、
「債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為について、受益者が悪意でない限り、その取消しを裁判所に請求することができる。」という制度です。
詐害行為の取消しは総債権者の利益のために効力を生じ(同425条)、2年間の短期消滅時効の定め(同426条)があります。

債権者が詐害行為取消権を行使するために必要な要件は、教科書的には、
①詐害行為前に被保全権利が存在していること、
②財産権を目的とする法律行為を債務者が行ったこと、
③その法律行為によって債権者が害されたこと(債務者の無資力。客観的詐害行為の存在)、
④その法律行為が債権者を害することを債務者及び受益者が知っていたこと(債務者らの悪意。主観的な詐害意思)の4つに整理されています。

事業再生事案では上記①は当然に認められ、昭和リース判決が上記②の要件を明確に肯定したことになります。そこで問題は上記③④の詐害性の判断が事案の結論を左右することになる訳です。

この詐害性の判断について、教科書的には客観的詐害行為の存在と主観的な詐害意思を分離しそれぞれ別個に判断する(二元説)ようにいわれていますが、判例・通説は「相関関係説」ともいうべき立場であって、詐害行為に該当するか否かの判断は、行為の客観的性質、行為者の主観的要素並びに債務者がとった手段の相当性などを総合的に考慮して、当該法律行為が正当な処分権行使と言えるかどうかで評価しているとされています。
この評価は当該行為の主観・客観の両面から相関関係的に考察して当該行為に対する無価値判断をする訳ですから、これは規範的な評価を伴う判断です。
従って、通説判例によれば詐害行為の認定は、債権者側の債権保全の必要性の観点からのみなされるべきではなく、債権者間の公平(当該法律行為の有害性)、債務者にとっての有用性(当該法律行為の不当性の程度)をも総合的に考慮した結果、債務者の行った当該法律行為を取り消すことが正当化されるか否かによって判断されるべきだということになります。

以上の議論を中小企業の事業再生事案に当てはめるとどのような組立が可能なのでしょうか。
会社分割による事業再生手法が、一方では中小企業経営者が従業員や取引先など関係者に対する責任感から新設会社の事業によって弁済していくことが究極的に関係者の利益にも合致すると考えたこと。
他方で分割会社の多くの債権者も旧会社を解体処分してその残余財産から僅かな分配金を取得するより事業を継続させて長期的な弁済を受けた方がよいと判断して新会社の設立に反対していないということ。
このような状況下で、一部の債権者(金融機関や債権回収会社)が自己の債権さえ回収できればよいとして詐害行為取消訴訟に訴えて旧会社の責任財産を取り戻すことを意図していること。
このような詐害取消訴訟が果たして正当化されるのか否か、を厳密に検討するべきだと私は考えます。

そして結果的に分割会社に対する金融債権者が取引債権者より不利に取り扱われることがあっても、次の事由により可としたい。
それは金融機関が、別途担保や保証人を取って債権保全を図っていることが多いこと。金融機関は中小企業の育成・発展に貢献するという公共的な責務を負っていること。これ等のことから、会社分割の相当性が認められる場合には、多少の不利を甘受するのもやむを得ないと思います。

少なくとも現実の詐害行為取消判決の効果として、取消し債権者が受益者から取り戻した債権が金銭の場合、債権者が取戻し金を被保全権利と相殺することによって事実上優先弁済の効果を受けることができ、総債権者の共同担保の維持保全という立法趣旨と異なる運用がされていることからも、詐害行為取消しを緩やかに認めることには疑問があることを指摘をしておきたいと思います。
この点は現在法務省で進められている債権法改正作業の中でも取消し債権者の事実上の優先弁済権は修正を受ける方向で議論が進められています。
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by bfl-info | 2011-04-07 18:22 | 事業再生コラム&提言
■中小企業の事業再生:第2会社方式の新たな課題-3
詐害行為取消訴訟のリスクにどう対応するべきか-2

   NPO東海事業支援機構理事、弁護士 佐久間信司、2011年1月8日(寄稿)

3 主要な論点についての裁判所の厳しい判断

この訴訟の主張な論点は、会社分割への詐害行為取消権の適用の可否、新設分割の詐害性の判断、取消しの範囲及び原状回復の方法の3点でした。それらについての裁判所の判断を簡単に見ておきます。

① 会社分割への詐害行為取消権の適用の可否(ⅰ分割者の主張 ⇒裁判所の判断)

ⅰ 会社分割は組織法上の行為だから詐害行為取消の対象にならない
 ⇒「新設分割が会社法に基づく組織法上の法律行為であるとしても、新設分割は、分割会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を新設会社に承継させることであり、分割会社から新設会社への財産の移転を要素とし、分割会社の一般財産を減少させうる行為であるから、財産権を目的とする法律行為というべきである」とこれを排斥しました

ⅱ 新設分割による会社設立は法人格の取得を目的とするいわば身分上の行為であって財産権を目的とする法律行為ではない
 ⇒「法人格の取得という面に着目して新設分割による会社設立をいわば身分上の行為であるということができるとしても、そのことによって新設分割が財産権を目的とする法律行為でなくなるものではない」としました。

ⅲ 民法は個人間の取引行為を規律するもので新設分割には適用がない
 ⇒「民法は…一般法であり、会社であっても、会社法等の特別法に規定がない事項については民法の適用を受けることは当然」としました。

ⅳ 詐害行為取消権は、債権者全員に対する債務を返済するに足りる資力がないときに特定の債権者だけに対してなされた返済の取消しを請求することができる権利であるが、新設分割は会社組織の再編をしたものであり資産が一部の債権者に移転したものではない
 ⇒「詐害行為取消権は、総債権者の共同担保となるべき債務者の一般財産を保全し、債権者を害する債務者の一般財産減少行為を取り消して、逸出した財産を返還させ、又は返還に代えてその価格賠償をさせることにより債務者の一般財産を原状に回復させるための制度であり、広く債権者を害する財産権を目的とする法律行為が詐害行為取消権の対象となるのであって、特定の債権者に対する返済などだけを対象とするものではない」としました。

ⅴ 新設分割は、多数の利害関係者の活動に影響を及ぼし、法律関係の安定が要請されるため、会社法は、法律関係の画一的確定を図り遡及効を否定した新設分割無効の訴えを定めている。既に組織として生まれ、そこに多くの関係者が関与している新設会社を、詐害行為取消権の対象とすることは誤りである
 ⇒「新設分割無効の訴えと詐害行為取消権は要件及び効果を異にする別個の制度であり、新設分割無効の訴えの制度があること、あるいは新設分割による新設会社に新たな法律関係が生じていることなどによって、新設分割により害される債権者の詐害行為取消権の行使が妨げられると解すべき根拠はない」としました。

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by bfl-info | 2011-04-07 18:20 | 事業再生コラム&提言
■中小企業の事業再生:第2会社方式の新たな課題-2
詐害行為取消訴訟のリスクにどう対応するべきか-1

       NPO東海事業支援機構理事、弁護士 佐久間信司、2011年1月8日(寄稿)

1 再生指導をめぐる新たな局面

2010年の夏頃から金融・商事の裁判例等を掲載する雑誌に、事業再生の手法として会社分割を活用したスキームに対し、濫用的会社分割として詐害行為取消や信義則により新設分割設立会社(以下「新設会社」と記す。)に分割会社の旧債務を履行することを命じる裁判例がいくつも掲載されるようになりました。私自身も会社分割無効訴訟で敗訴した銀行から詐害行為取消を追加提訴された案件を取り扱っています。

ここ数年来、経済的に窮境にある中小企業が会社分割制度を使って採算部門を切り出して不採算部門は分割会社に残して事業再生をはかるという手法がかなり定着してきました。その際、多くの金融機関は、道義的には貸付金の踏み倒しで認め難いが、法律上は可能な手法ということで訴訟にまで発展する例は少なかったと思います。
ところが返済猶予法の施行後1年余りが経過し、金融機関に実質的な不良債権が相当増加している情勢を踏まえてか、裁判上可能ならば「再生した新設会社に対し分割会社の債権を請求したい」、「詐害行為や法人格否認の法理を使って請求できるのならこれを追及したい」との思惑が生まれたようです。もし、金融機関がこの思惑を前面に出して行動してくれば、折角再生できたと思っていた再生企業が再び窮境に陥ってしまう虞れがあります。
そのような危惧を感じるほど、このところの金融・商事関連の雑誌には「濫用的会社分割には詐害行為取消制度や法人格否認の法理で対抗するべし」との強い論調が窺われます。

どの様に有効な法制度でも“それが濫用され、行き過ぎが目立つ”ようになると、一気に潮目を変えて逆流することを歴史は、教えています。各地の再生指導家諸氏が、窮境にある中小企業の事業価値や生産技術・ノウハウ、商圏、労働者の雇用などを守る、という社会的に意義のある取組みを司法界に認知して貰えるよう、また適正な会社分割と濫用的会社分割との区別を考え、自らのコンサル方法を自己観照してほしいと思いから本稿を、執筆させて頂きました。

2 昭和リース事件(詐害認定)の概要

私が「会社分割が詐害行為に当たるとしてその取消しが認められた事例」ということで、東京地裁平成22.5.27判決を知ったのは平成22年8月頃に金融・商事判例1345号26頁の特報でした。

事案の概要は、広告宣伝事業(業績不振)とクレープ飲食事業(良好な業績)を営んでいた㈱ユニ・ピーアール(分割会社。債務超過状態にある。)が、業績の良好なクレープ飲食事業だけを新設会社の㈱クレープハウス・ユニに承継させ、自らは会社としての実体がない状態にしたところ、分割会社に対し約1911万円のリース債権を有する昭和リース㈱が、本件会社分割が詐害行為に当たるとして会社分割の取消しと、新設会社に対しリース債権に相当する価額賠償を求めた事案です。

東京地裁の判決は種々の論点に対し丁寧に説明を加えながら、原告の請求通り本件会社分割を原告の被保全権利の限度で取消し、同額の価格賠償を認容しました。
そして控訴審も第一審判決を相当として被告らの控訴を棄却しました(平成22.10.27東京高裁第15民事部判決。金融・商事判例1355号42頁)。
この判決は、濫用的会社分割と詐害行為取消の成否に関しリーディングケースとなる可能性があります。また今後、銀行やリース・サービサー業界がこの判決を拠り所として、会社分割を使った事業再生に対し圧力を掛けてくることが懸念されるのです。

3 主要な論点についての裁判所の厳しい判断
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つづく
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by bfl-info | 2011-04-07 17:57 | 事業再生コラム&提言
■中小企業の事業再生:第2会社方式の新たな課題-1
第2会社方式による、中小企業の事業再生に係る新たな課題
                  JSK事業再生研究会 杉田利雄 2011.4.7

■会社分割に係る2つの重要な判決

● 破産管財人による否認権行使を認めた福岡地裁、平成21年11月27日判決(概要)

■この事件では、分割会社の破産管財人が詐害行為であるとして、濫用的会社分割を否認したというもので、新設会社が否認決定に対して異議を申し立てた。

福岡地裁は、会社分割を否認権行使の対象と判断して、請求を棄却しました。
⇒本件では個々の財産を返戻でなく,財産相当額の償還を示唆

【異議申立人の主張】
・会社分割を無効にするには会社分割無効の訴えによらなくてはいけない、と主張。

⇒会社法は、会社分割の効力を争うには、会社分割無効の訴えによらなければならないと定めており(会社法828条1項10号)、会社分割の無効について、期間制限等厳格な要件の下に、組織法的、画一的処理を予定しているのであって、破産法の否認の規定は適用されない等と主張する。
しかしながら、破産法に定められている否認権行使の要件は、会社分割の無効原因とは必ずしも一致するものではなく、また、その効果は、対象となっている行為による財産権の移転を当事者間において相対的に否定するにとどまり、会社の組織法的側面に影響するものではないのであって、上記会社法の規定の存在をもって、直ちに、新設分割について否認権行使が許されないと解することはできない。

⇒会社分割ができる会社については制限がなく、債務超過会社でもできると解されていることと債務者に変更がない債権者には会社分割の訴えの原告適格がないことから、債権者異議さえやっていれば、それらの債権者との関係ではすべからく会社分割できてしまうということを立方的に決断したのだ、とも主張している。

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by bfl-info | 2011-04-07 17:38 | 事業再生コラム&提言
NPO事業支援協議会・監修コラム【2008年03月号】
今月のコラムライター
李 明源氏(不動産鑑定士)   NPO東海事業支援機構 理事



「企業経営攻めと守り」


経営は「人」である、その人とは?

経営は人である。企業は人である。各種経営セミナーでよく耳にする言葉である。また、経営コンサルタント会社の経営アドバイザーも、企業は人が大事だから、まず社員教育からはじめましょうと言う。
そして、この時の「人」は、大概、幹部社員或いは一般社員を指す。
果たしてそうだろうか?確かに社員の素養も大切だ。けれども、一番重要な人は、企業を経営する経営者その人ではないだろうか?
経営者ひとりの力は、企業経営にとって非常に大きなウエイトを占める。
経営者が替わっただけで企業業績が上がったという例はたくさんある。
経営者が一番重要だということくらいは、言われなくてもわかっている、経営者の方からそんな声が聞こえてきそうだ。
しかし、経営者が重要であるとわかっていても、経営者である自分自身を指導してくれる人はいないので、いつのまにかそのことを、どこかへ置き去りにして忘れている。
だから、改めて再確認しておきたい。企業は「経営者」で決まる、これが企業経営の原点である。
では、経営において最も大切なことは何だろうか?
それは、培ってきた既存のいいものを守り、時代に適合しなくなったものを捨て去り、新しいものを取り入れて攻めることである。
これが正に、企業経営の攻めと守りであろう。
そのためにも、ある程度の時期がきたら、考えておかなければならないことは事業承継である。

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by bfl-info | 2008-03-12 17:17 | 事業再生コラム&提言
NPO事業支援協議会・監修コラム【2008年02月号】
072.gif今月のコラムライター072.gif
大森 孝成氏 NPO首都圏事業再生支援センター 理事


「任意売却の現場・ある事例」


=抵当権と租税債権等との順位優先権は、「抵当権の登記日と租税債権の法定納期限の先か後か」で決まる=


お勉強では知っていたが、任意売却でこのような現実にぶち当るとは思いもしませんでした。本来ならばあり得ないことなのです。
何故ならば融資をする金融機関はもっとも恐れる法律上の優先債権を事前に調査しますので、本来知らない筈もないし、知らないで済む話でないからです。
本不動産の所有者(本人)は、H18年,住宅金融公庫(現:独立行政法人住宅金融支援機構)から全額融資を受けて新築戸建住宅を購入した。しかし転居後半年も経ないある日、突然税務署の差押を受けたことで本人は何が起きたか訳が分からないままNPO首都圏事業再生支援センターに相談されたのです。

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by bfl-info | 2008-02-06 16:14 | 事業再生コラム&提言
NPO事業支援協議会・監修コラム【2008年01月号】
072.gif今月のコラムライター072.gif
青木 智平氏 NPO西日本事業支援機構理事


何時か来た道 


 原油高と米国のサブプライム問題は、世界を揺るがす大きな問題になっています。わが国もご多分にもれず、年初来より株価も大きく下げ、景気の先行きの不安を語っています。倒産件数も大型倒産こそありませんが、順調?に前年をクリアーし(これは、チョッと不穏当ですネ!)6.4%増を示し、負債額も4.1%の増加を示したそうです。サブプライム問題は、大手金融筋にも暗い影を落としていますが、問題は、まだ顕在化しておりませんが、地方の第二地銀以下、信金、信組等の方です。彼らは、不良債権の処理が進まない中、優良貸出先が無い為、迂回ルートでサブプライムへ投資していたと言う噂を聞いたのは、私一人では無いでしょう。それでなくても、地方は疲弊しています。経済の血液であるお金が、さらに回らなくなったらどうなるのでしょうか? 一つの会社が潰れると、次の働き口を探すのが大変なのが今の地方の現状なのです。



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NPO事業支援協議会加盟のNPO法人は、事業経営者・債務者の立場を重視する事業再生指導、経営支援を行っています。
・NPO首都圏事業再生支援センター
・NPO関西事業再生支援センター
・NPO東海事業再生支援センター
・NPO湘南事業支援パートナーズ
・JSK事業再生研究会-Tel:03-5367-1558 Fax:03-5367-1668

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by bfl-info | 2008-01-28 11:57 | 事業再生コラム&提言


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